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あれ・これ 池田 郁英2017.10
『あれ・これ』
「歳食って、身につくものは贅肉と悪知恵だけだね・・」
お客様とのゴルフプレー中での会話です。年配の役員が自分の人生を省みてつぶやく常套句。
自嘲気味に発せられるフレーズですが、老練さへの自信も少し垣間見えます。
これはまた、居酒屋に集まる若いサラリーマン達の常套句。
「あの部長、歳食って身につくものは・・・・・・!」 ストレス解消!
いずれにしても、人生のアイロニーに満ち満ちたフレーズです。
そうそう、歳食って身につくものにもう一つあります・・・『あれ・これ』です。
「ねぇ君、君、あれにこれして、なにをすぐ持ってくるように伝えてくれ」
「明日、あそこに行ってあの専務に挨拶したいので、いつもの時間の新幹線を
とるように彼女に伝えて」
指示している本人はもちろん全てを理解してしゃべっているのですが、指示を受けた方はたまりません。
受けた指示はなんとなく理解、イメージは出来るのですが、そこで行動をおこすと、深刻な結果が待ち受けています。
ビジネスの現場は正確さとスピードが肝要です。
誰しも、歳とともに日付、時間や固有名称がなかなか思い浮かばなくなります。
自分の頭に浮かんだ様々なイメージと、それぞれに対応する言葉を繋ぐパイプに梗塞をおこしているのでしょうか…
それは、若い時より行動範囲が広くなって、必要度の低いことは記憶しなくなったせいなのか、はたまた老化と共に単に記憶力が低下したせいなのでしょうか…
ホントにイライラします…#&%!
そこで私たちは、すぐに「あれ・これ」を使って会話してしまいます。その方がイライラから簡単に逃げられるし、楽だから。
この傾向は若い層にもみられ、あながち老化現象だけではなく、単に習慣性のなせる業だと言えなくもありませんが。
いずれにしても、このイライラ感、緊張感に打ち負かされてはいけません。
耐えて、耐えてコレステロールを掃除し、良好なパイプを必死に保持するのです。
老化防止のためにも、ビジネスの現場を混乱させないためにも、必要以上の『あれ・これ』は禁止です。
取締役社長
池田 郁英
(写真はインターネット画像検索より)